ショットピーニング技術協会

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「金属疲労とショットピーニング」改訂第四版の出版

「金属疲労とショットピーニング」

改訂第四版

「金属疲労とショットピーニング」
  改訂第四版の出版

鋼を初めとして様々な金属は,何千年も前にその金属が創り出されたときからその後の変形や加工で強さや硬さが変わることは一部の職人や専門家の中では知られていたことでしょう.しかし,金属が弾性範囲の応力によって破壊するといういわゆる金属疲労現象について技術者が知るようになったのは,部材の使用環境が急激に過酷になった産業革命後のことです.1930年代に自動車の弁ばね用にショットピーニング技術が初めて産業利用され、特に破壊の三大原因である金属疲労が航空機の墜落原因として注目されたのが1953年から1955年に発生した世界最初のジェット旅客機「コメット・Mk.I」で,このときを境に,金属疲労現象のとらえ方やその防止策などについて多くの実験・研究が重ねられ大きく発展してきました.その発展過程の中で必然的とも言うべき状況により金属疲労の防止策の一つとしてショットピーニング技術が開発されました.微細な粒子で金属を叩いて鍛錬する作業は,日本刀の鍛錬過程とも通じるところがあり,この優れた加工技術は先達の様々な多くの研究・努力のすえ,今日,金属の強化技術として発展してきました

微細な粒子を何らかのエネルギーを利用して高速度に加速して行ういわゆる「噴射加工」は,150年ほど前から様々な分野で使用されてきました.そのなかで,角のない丸い微細な粒子を翼車の遠心力や圧縮空気などで高速度に加速して金属部品を強化するショットピーニング技術は,航空機の高信頼性・長寿命化の重要な特殊工程の一つとなっており,自動車のエンジンや足回りの部材の強化策としても定着しています.また,投射粒子が丸いショットばかりでなく,角のあるグリットや研掃材などを使用するブラスト加工なども,機能表面創製技術として幅広く活用されています.

その一方で,ショットピーニング技術で用いられる工具としてのショットは,切削加工や研削加工のバイトや砥石と異なり固定されておらず自由に衝突し,加工現象が非常に高速変形であるため力学的な解析や取り扱いが非常に困難です.さらに,被加工物の開発も日進月歩であり,加工部品が常に高品質となるような適正条件を設定することは,その都度多くの事前の実験・研究が必要となるため非常に困難なものとなっています.

このような現状のためか,ショットピーニング技術協会にはショットピーニングに関する初歩的な質問や,自動車部品加工現場などで「今解決したい」方策を手探り状態でお困りの技術者からの質問が,ホームページの「Q&A」で非常に多く寄せられています.

前書,ショットピーニング技術協会出版の「金属疲労とショットピーニング」は,1998年日刊工業新聞社出版の「ショットピーニングの方法と効果」が絶版となったことを受けて,2004年に内容を一部追加して「金属疲労とショットピーニング」と署名を変え改訂第2版を出版されました.その後ショットピーニング技術協会が版権を引き継ぎ,同名で第3版として出版したものですが,最初の出版から20年近く経ちで,内容が現在の技術を反映していない部分が散見されることになったため,内容を基本から見直して大幅に改訂した改訂第4版を大河出版(株)より出版するに至りました.

本書は,噴射加工分野のショットピーニングに焦点を当て,ショットピーニング技術の導入を検討されている技術者にも解りやすく解説し,また現在利用している技術者の方々がショットピーニング技術をコア技術としてさらなる応用・活用を考慮される場合にも役立つような実務的かつ内容の深い記述を折り込んでいます.さらに一歩踏み込み,「ピーニング技術」という観点から,投射材を使用せずにピーニング効果を達成可能な技術として,レーザピーニング,キャビテーションピーニング,ニードルピーニングなども項目を設けています.さらに、巻末にはショットピーニング用語小辞典も併録しました.本書がショットピーニング技術を使用する各分野の技術者や設計者のバイブルとなることを期待します.

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