ショットピーニング技術協会

ショットピーニングとは
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ショットピーニングとは

ショットピーニングとは無数の粒子を衝突させることによって金属材料を強くする技術です

ショットピーニングとは、冷間加工の一種である。ショットピーニングを一言にしていえば、無数の鉄あるいは非鉄金属の丸いたまを高速度で金属表面に衝突させることである。これら鉄の丸いたまをショットという。このショットが高速度で材料の表面に衝突すると、一般的には材料に比べショットは硬いので材料表面がへこまされ、表面に丸いくぼみを残すようになる。従ってショットピーニングを行った面は無数のくぼみ(痕)でおおわれるようになり梨子地模様となるが、表面の硬さが増し、また繰返し荷重に対しては表面層に付与された圧縮残留応力が相殺する形で作用し疲れ強さが増す。この他、耐摩耗性の向上、耐応力腐食割れ特性の向上、放熱性の向上、流体抵抗の減少等の効果がある。また材料依存性が少ないことから、ばね、歯車、コネクティングロッド、クランクシャフトといった自動車部品から、ジェットエンジン、翼、ランディングギアなどの航空機関連、化学プラントの圧力容器などなどさまざまなところに利用されている。

ショットピーニングの効果

ショットピーニングの主要な目的の一つとして疲れ強さの向上がある。疲れは我々が針金をペンチを使わずに手で分断しようとする際、曲げ・曲げ戻しを針金に繰返し加え破断させることができる現象そのものであり、 日常的にも経験する事柄である。すなわち、疲れとは負荷が破断荷重以下であっても繰返し加わることで部材が破壊する現象をいう。特に部材が大きな変形を伴わないような負荷であっても、部材が破壊に至ることから、 危険の検出が難しく部材設計にとって重要な問題となる。ショットピーニングを施すことにより疲れ寿命を向上させることができ、部材の寿命を設計する段階において部材の軽量化を計ることができる。 以下に疲れ強さの向上を目的としたショットピーニング方法の紹介と、疲れ強さ以外のショットピーニング効果を示す。

ショットピーニングによる作用

【痕】
種々のピーニング効果を発生する原点ともいうべき要因は、ショットの 衝突により生成される微小な球面状の痕である。これはショットの衝突中ショットの弾・塑性変形と、ショットが跳ね返った後の被加工材の弾性回復とに よるものである。この痕はピーニング加工面の特性に影響し、とくに潤滑性・摩耗性向上に寄与するミクロプール・ディンプル効果に関係するものである。
【硬さ】
ショットピーニングによる加工硬化は、ショットによる被加工材の塑性変形から生じるもので、加工硬化層の深さは被加工材の材質や加工履歴などにより異なる。しかし予歪を与えた材料にピーニング処理をした場合、加工軟化する場合もある。
【残留応力】
残留応力は不均一変形により発生するもので、最大圧縮応力が加工面の最表面に発生する場合と内部に発生する場合とがある。一般的加工条件によるピーニング加工面の残留応力は例外なく圧縮であるが、被加工材の内部方向に勾配があり、内部で引張になる。溶接や熱処理によって発生する有害な引張残留応力もピーニングにより容易に圧縮残留応力にすることができる。
【組織変形】
浸炭歯車はショットピーニングの応用が盛んな部品の1つであり、浸炭材料の表面に発生する異常層の改善効果が大きいことがあげられる。影響として、硬さと圧縮応力の付与とともに表面層に発生する残留オーステナイトのマルテンサイト変態がある。ピーンフォーミング(成形)被加工材の変形を積極的に利用するものとしてピーンフォーミング があり、航空機の翼や機体の成形に使用されている。
【その他】
封孔作用、削食などがある。

投射材

ショットの拡大写真

投射材は、噴射加工に用いられるメディアの総称で、その種類は非常に多く、ショットピーニング、砂落とし、スケール除去、素地調整、バリ取りなど加工の目的、被加工物の特性などに応じて、使い分けられている。ショットピーニングによって部品表面に発生する圧縮残留応力、硬さの上昇などは、被加工物の圧縮強さ、硬さなどの被加工物側の要因、および加工面に与えられる運動エネルギで決まる。

運動エネルギに直接関連する投射材そのものの要因は、投射材の比重、粒度であるが、投射材も被加工物との相対硬さに応じて衝突時に変形し、運動エネルギを吸収するため投射材の硬さも結果に影響を与える。したがって、ショットピーニング加工では、投射材の比重、粒度、硬さが投射材を選定する際の重要なポイントとなる。投射材(ショット)の材質には、鉄系、非鉄系、ガラス系、セラミック系、樹脂系などがある。ピーニングに使用される主なショットには、鋳鋼ショット、カットワイヤショット、ガラスショット、およびセラミックショットがあり、それらの特徴は以下のようである。

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